IT革新の担い手の育成

 アップルのスティーブジョブズがなくなったのは昨年11月のことだが、こうしたIT革新の担い手はどのようにして育つのだろうか(本当を言うと、ジョブズよりアップルの共同創始者のウォズニアックの方が、筆者にとっては天才に思える。この点に関しては別稿で扱っていきたい)。

 これに関する面白い記事がWSJに出ていた(Tony Wagner,”Educating the Next Steve Jobs”,WSJ,Apr.13,2012)。筆者は元高校教師でかつハーバード大学のTechnology and Entrepreneurship Centerのイノベーション・教育フェローというから、この問題の専門家だろう。
彼の指摘は面白い。
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 ・アメリカの高校教育は、イノベーターを育てるというより、むしろイノベーターは、教育のしがらみがあるにも関わらず育っていくといった方が正しい。
・アメリカではいくつかの高校や大学で、こうしたイノベーターを育てる教育がなされている(High Tech Higi in SanDiego,スタンフォードのd.スクール、MITのメディア・ラボなど)。こうしたところでの教育方法は従来の学校とはまったくことなっている。
・通常の学校では、学生が失敗すると罰を与えられるが、試行錯誤なしにはイノベーションは生まれないことを考えれば、そうしたやり方はイノベーターをつぶすことになる。インテル主催の科学賞で多くの入賞者を育てた高校の先生アマンダ・アロンゾ氏は、「大事なのは、生徒が失敗したとき、それは学びの一過程だと教えることだ」という。
・通常の学校では生徒は受け身であり、知識を受け取り一方的に学ぶ。しかし上にあげたようなハイテク校では生徒は単なる受け手ではなく、問題を解き、クリエーターとなる。大事なのは、3つのP:play(遊び心),passion(情熱) and purpose(目的意識)だ。
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日本の場合は、もっと状況は悪いのではないか。子供のころから塾通いをして、与えられた、解のある問題をいかにして早く解くかのみに習熟する。そこには、遊びもなければ、情熱も、問題意識もない。しかも皮肉なのは、こうして日本の良い学校に行って、良い成績で卒業して、大会社に入っても、先はたかが知れていることだ。つまり日本社会は、必死になって二流の人材を育て、育てられた当の本人たちにもたいした未来はないということになる。
 よく企業や大学のグローバル化や世界標準化などが叫ばれるが、こうした“無駄”を減らさない限り、日本の将来は難しいだろう。
 

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